福島県教育長より
県教育長より生徒の皆さんへメッセージが届きましたので掲載いたします。
児童・生徒の皆さんへ
-学校の臨時休業に関する福島県教育長メッセージ-
学校が臨時休業となってから約1週間、高校生は 10 日となります。皆さん、どのように過ごして
いますか?
新型コロナウイルスの感染拡大防止のためにはやむをえないことでしたが、入学試験や卒業式
を控える年度末の重要な時期に、心の準備もままならないうちに、急に先生や友達に会えなくなっ
てしまいましたね。胸が痛みます。
準備期間が短かったにも関わらず、保護者の皆様、教職員の皆さん、放課後児童クラブの運営
を行う皆様など子供たちに関わる多くの方々が準備に奔走してくださり、無事に休業に入ることが
できました。また、臨時休業中の子供たちを、創意工夫を重ねて見守っていただいていることに心
から感謝申し上げます。
児童・生徒の皆さんは、新型コロナウイルスという見えない敵、そして、いつ学校が始まるのか
わからない状況に対して、不安を感じているかもしれません。特に、中学生、高校生の皆さんは、
9年前の3月に似たような経験をしたことを思い出すかもしれません。
このようなときだからこそ、一人一人が何をするべきか冷静に考え、判断し、行動していくことが
大切です。そして、ピンチの中からチャンスを見いだしていく前向きさを失ってはいけません。臨時
休業という状況を、感染拡大の防止のみならず、学習や生活の面でも何とか有意義なものにした
いものです。
まず、今は新型コロナウイルスの感染の拡大防止が最優先です。学校から今回の臨時休業の
趣旨、注意事項などが伝えられていると思います。未知のウイルスであるが故に、ウェブ上には誤
った情報が流れている場合もありますが、何が正しい情報かを見極め、感染拡大防止に向けて何
をすべきか、何をすべきではないのかを冷静に判断してください。
次に、皆さんの心身の健康についてです。不規則な生活になっていませんか?ゲームばかりし
ていませんか?時々は体も動かしていますか?誰かとお話できていますか?時々笑っています
か?もちろん人混みに出かけることは控えていただく必要がありますが、ジョギングや縄跳びなど
可能な運動もあります。それぞれに自分と向き合って考えてみてください。
そして、急にできてしまった「何もない時間」を有意義に過ごす方法を考えてみましょう。普段は、
学校、部活動、習い事等で忙しくしているので、急に時間ができると何をしたらよいかわからなくな
りがちです。
例えば、日常生活の中で家庭のお手伝いをしてみませんか?小さくても普段できない体験活動
です。家族の方とコミュニケーションをするきっかけにもなります。居場所と役割があると気持ちが
前向きになります。
このような時期だからこそ、本や新聞を読んで物事を考えてみてください。今のところは県立図
書館も開館しています。団体活動はできませんが、個人利用はできます。ビブリオバトルへの参加
もお待ちしております。
この機会に苦手科目を克服するのはいかがでしょうか?ふくしま学びのネットワークの前川直
哉先生も提案されているように、時間が取れる時にしかできない広い範囲の復習なども考えられ
ます。ウェブ上にも様々な無料の学習コンテンツが掲載されています。
中学生や高校生の皆さんは、自分が政治家になったつもりでテーマを決めて、友達や先生とウ
ェブ上で議論することもできます。SDGsの中からテーマを選ぶのもよいと思います。「君が学ぶと
世界が変わる」と私も思います。
なお、今回の休業のために、学年の修了や卒業などが不利になることは決してありません。授
業ができなかった分をどのように補うのかについては、教育委員会や校長先生がきちんと考えてく
ださっています。
最後に、まわりの人たちへの心配りです。弟や妹がいれば、日常の生活が一変してしまった不
安をいたわってあげてください。ご両親をはじめとした大人の皆さんも大変な苦労をしています。自
分に何ができるかを考えてみてください。新型コロナウイルスに関連して、いじめや差別があって
はならないことは言うまでもありません。
普段当たり前であると思っていた日常的なものが、無くなってみて初めてその重要性に気づくこ
とがあります。学校は、皆さんにとってそのようなものなのではないかと思います。
ピンチをチャンスに変えることは簡単ではありません。しかし、福島県は「チャレンジ県」としてピ
ンチをチャンスに変えようと、この9年間皆で力をあわせ復興に取り組んできました。その蓄積を今
こそ生かしましょう。
少しでも皆さんの不安が減って、有意義に過ごせること、そして、早期にウイルスの感染が終息
して学校が再開し、皆さんがまた笑顔で先生や友達とともに過ごせるようになることを祈っていま
す。
令和2年3月12日
福島県教育委員会教育長 鈴木 淳一