ビャッコイは、カネヤマイだった?!
まず、「ビャッコイ」とは何か、知らない方がいるかもしれませんので、説明します。ビャッコイについては、白河市のホームページに次のように紹介されています。
表郷小学校北側の林の泉(通称不動清水)に自生するカヤツリグサ科、ビャッコイ属の植物である。明治33年(1900)頃、鈴木貞次郎が採取し、福島師範学校(現福島大学教育学部)教諭を経て植物学者牧野富太郎に渡り「ビャッコイ」と命名され、明治37年に学会で発表された。岩代国戸ノ口原(会津若松市)付近の採取品と紛れたため、白虎隊の古戦場にちなんで命名されたという。清らかに澄み、冷たい清水の湧く泉に自生する多年草で、通年10~12℃の水温を保つ湧泉の小流や小池沼などに限って生育し、砂質の土壌に根を張る性質がある。全体は淡緑色で長さ10~50cmに及ぶものもある。また、生育地の水深の変化に伴いその形態にも著しい相違がみられる。花は大きさ数mm程度で灰緑色を帯び、8~9月にかけて長さ5~15cmの花茎から茎頭に穂状に開く。一説には氷河期の名残を留める植物で、日本ではここにしか自生していないとされ、平成16年(2004)に岡山理科大学の星野卓二教授によるDNA鑑定の結果、オーストラリア産ビャッコイと近縁種であることが判明した。白河と近縁種のビャッコイはオーストラリア、インドネシア、パプアニューギニア、ニュージーランドの標高700~3900mの山地の湿地や水辺に分布し、生育の環境はそれぞれ異なり、北半球での存在は表郷のみである。 |
特に、注目してほしいのは、日本では表郷にしか自生してなく、世界でも5カ所にしか生育していない点です。それだけ希少価値がある植物が、この表郷に生育しているなんて、すごいことです。なぜ、ここだけなのか。おそらく、遥か昔には、至る所で生育していたものが、長い年月を経て、生育環境の変化に伴い、少しずつ姿を消していき、今、日本ではこの表郷にだけ、その種が奇跡的に生き残ったのかもしれません。ビャッコイが生育している環境は、清水が湧き出していて、緩やかに水流があり、周囲の樹木により、適度に日陰になっています。きっと、ビャッコイの成長にどんぴしゃりと、はまった環境だったのでしょう。しかし、温暖化など、昨今の環境の変化により、全て自然任せでは、ここまで残っていなかったかもしれません。このビャッコイの保護のために、たくさんの方々が昔から携わっています。中学生も協力されているそうです。そういう方々の努力のお陰で、今もビャッコイは生き続けられているのです。
この新種の植物に、「ビャッコイ」と命名したのは、植物学者の牧野富太郎博士です。ただ、ちょっとおしいのは、博士が会津の植物と勘違いしたために、白虎隊のビャッコが名前についたことです。もしかしたら、ここカネヤマの名がついて、「カネヤマイ」だったかもしれません・・・。最後に、名付け親の牧野富太郎博士がモデルとなる朝の連続テレビ小説が、2023年春放映されるそうです。ストーリーの中に、ビャッコイが登場するといいですね。
福島県白河市立表郷小学校
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