表郷小学校

誰かの喜びにつながるとは

 前述の話にもつながる話ですが、私たち人間が、人として得られる最高の喜びは、何でしょうか。欲しいものが手に入ること?願っていたことが叶うこと?それもあるかもしれませんが、人としての最高の喜びは、自分の存在が誰かの喜びにつながるということです。

 本校の先生方が、日々の授業で使用しているチョークは、日本理化学工業という会社で作られているチョークです。(私は個人的に、ここのチョークの堅さがとても書きやすくて気に入っています。)この日本理化学工業という会社は、あることで有名な会社です。それは、障がい者雇用に積極的に取り組んでいる点です。きっかけは、昭和35年に2名の知的障がい者を雇用したことから始まりました。その後、年々増えていき、現在は全従業員90名のうち、63名が知的障がい者になっています。

 なぜ、そのような障がい者多数雇用を目指したのかというと、創設者が会社創設当初、ある禅寺のお坊さんから「人間の究極の幸せ」について教わったからだそうです。創設者の元会長さんは、次のように言っています。
「導師は人間の究極の幸せは、人に愛されること、人にほめられること、人の役に立つこと、そして、人から必要とされることの4つと言われました。働くことによって愛以外の3つの幸せは得られるのだと。私はその愛までも得られると思う。」

 つまり、私たち人間は、欲しいものが手に入ったり、誰かに何かをしてもらったりすることでは、本当の幸せは得られないということです。そうではなく、働いたり、自分の役割を果たすことで、自分の存在が、他の誰かの役に立ったり、助けになったり、誰かの喜びにつながっていると実感できることが、人としての最高の幸せを得られるのだということです。

 前述の登校班の子どもたちが、登校中、すばらしいあいさつをしていることが、毎朝、Oさんの喜びにつながっていたわけです。子どもたちが頑張って取り組んでいることが、この地域の誰かの喜びつながっているとしたら、こんなにうれしいことはありません。同じように、先月、校内で行った表っ子チャレランでは、6年生の子どもたちがそれぞれのゲームコーナーの準備・運営を行い、5年生の子どもたちが、縦割り班の下級生たちを連れて、面倒を見ながら回りました。こういう5年生、6年生の子どもたちのお陰で、下級生たちは楽しい時間を過ごすことができたのです。高学年の子どもたちの中には、きっと(大変だったけど、下級生のみんながとても喜んでくれて、頑張ってやってよかったなあ)と、人としての最高の喜びを感じた人がいたのではないかと思っています。