表郷小学校

子育てのヒント

 授業参観が中止になり、当日、懇談会の折に、校長よりお話しする予定だった内容を載せます。どうぞ子育ての参考にしてください。

(前略)長く教師という仕事をやってきて、今、改めて思うことは、この仕事は、自分一人では何もできないということです。私たち学校の教職員は、学校に来る子どもたちがいるから、この仕事ができるのです。そして、そうやって学校にお子さんを送り出してくれるお家の方々がいるから、この仕事ができるのです。だから、保護者の皆様に感謝なんです。子どもたちに感謝なんです。そして、そういう子どもたちを、みんなで協力して、みんなで関わって、教育を施すわけですから、この表郷小学校で、共に働く仲間の先生方にも感謝なんです。子どもと保護者の皆様と、そして、同僚の先生方と、感謝感謝で仕事ができるのです。

 さて、保護者の皆様は、お子様の子育てでいろいろとご苦労をされていませんか。かく言う私も、一人の保護者として思うのですが、子育てについて、マニュアルも教科書もありません。だから、これでいいのかという自信がもてないと思うのです。でも、なぜ、子育てにマニュアルはないのか。たぶん、お子さん一人一人が違うからです。表郷小学校293名の子どもたちには、293通りの子育てが存在するのだと思います。では、何か、ヒントはないのか。

 以前、諸富祥彦(もろとみ よしひこ)さんという心理学者で教育学の教授の方が、子育ての講演会で、次のような話をされていました。その中に、子育てのヒントがあるかもしれませんので、ちょっと紹介します。▼「子育ては・・・なるようにしかならない。まさに、子育ては運。いつ、いかなる時に、子どもがよくもわるくも変わるかは、正直誰にもわからない。ただ、言えることは、なるようにしかならないということ。これは、言い換えると、なるようになることが大事。つまり、親の立場から言えば、親が子どもの成長を邪魔しないことが一番。それは、親として子どもに『してはいけないこと』をしないこと。

 子どもの成長にとって、一番大事なことは、親の心が安定していること。だから、してはいけないことの一つ目は、「イライラ、カリカリを子どもにぶつけないこと」。もし、いらいらしてきたら、親の方が子どもから一歩引く。場合によっては、子どもから離れること。そして、場所を変え、イライラカリカリを解消してくる。いらいらして、子どもと対等にやり合うということは、親が「子ども」と同じ立場になっているということ。親は、「大人」なのだから、「子ども」になってはいけない。 してはいけないことの二つ目は、「否定的なことを言わないこと」。何やってるの、ダメなんだから、馬鹿、しょうがない等の否定的なことを言われ続けた子どもは、自分自身そういう子なんだと受け止めてしまう。そうではなく、肯定的なことを子どもには言うことが大事。さすが、いいね、じょうずだね、大丈夫、きっとできるよ、ここまでできたね、すごいね等。

 してはいけないことの三つ目、「兄弟と比較しないこと」。全くおまえはダメなんだから、等と比較されて否定的なことを言われた子どもは、自分に自信を持てない子になる。だから、全ての子に「自分が一番愛されている」と感じさせることが大事。

 これら、してはいけないことを親はしないこと。そして、子どもがどんな悩みも打ち明けられる親になること。そのためには、親自身が、人間的に成長することが大切。それは、本気で生きている姿や深く自分を見つめる姿を、子どもに見せること。親が子どもに本気で仕事に打ち込み、深く自分を見つめ、悩み、それでも前に進もうとする姿を見せること。」