こんなことがありました!

東日本大震災から9年~知事メッセージより~

2020年3月11日のメッセージ


東日本大震災と東京電力福島第一原発事故から9年。
東京2020オリンピック・パラリンピックへの期待が高まる中、
福島では、事故の対応拠点となっていた「Jヴィレッジ」が全面的に青々とした芝を取り戻し、
サッカーをする子どもの憧れの地として再び輝き始めています。


帰還することが困難とされていた地域の一部で避難指示が解除され、
一部区間が休止を余儀なくされたJR常磐線は、列車の響きを取り戻します。
福島は復興に向け、着実に歩みを続けています。


一方で、現在も4万人を超える県民の皆さんが避難生活を続けています。
ふるさとの生活を取り戻した方も、時間の経過がもたらした変化と向き合っています。
根深く残る風評や薄れゆく関心の裏で、
今もなお苦しい思いをしている子どもや孤立した生活を送る県民の皆さんがいます。


昨年は全国各地で災害が頻発する中、福島も台風と大雨により甚だしい被害を受けました。
私たちはいまだ、様々な課題を抱え、復興には長い時間がかかります。

 

震災から10年目、「令和」という新しい時代。
私たちは復興の新しいステージを切り拓く時期を迎えています。
今、福島では自分たちの地域を次の世代へつなぐため、
新たな仕事づくりにチャレンジする方が増えています。
私たちが一生懸命取り組む姿は、未来への前向きなメッセージであり、
皆が挑戦を続けていくことが復興・創生につながっていきます。
震災により突然日常を奪われた私たちは、
先人が築いてきた福島の日常がどれほどかけがえのないものかを身をもって知りました。
だからこそ私たちは、震災を知らない世代に
震災から学んだこと、災害は他人ごとではないということを伝えていかなければなりません。
「今はまだ語るのが難しい」という県民の皆さんも大勢いらっしゃいます。
そうした方々が震災を語れる日が来るまでそっと寄り添うこともまた大切です。

福島の地から、まもなく聖火リレーがスタートします。
夏には野球・ソフトボール競技がここ福島で開催され、世界中から多くの人々が訪れます。
オリンピック史上初めて聖火台の燃料に使われることとなる水素。
この福島で作られ、環境負荷の少ない次世代エネルギーという人類の夢を全世界に発信します。
オリンピックのビクトリーブーケには福島のトルコギキョウが選ばれました。
花言葉にある「感謝」と「希望」。
私たちは福島を支えていただいている方々や思いを寄せてくださる方々に「感謝」を伝え、
世界中の皆様に福島が「希望」の光を灯し、一歩ずつ前に進んでいる姿を見ていただきたいのです。
多くの困難に立ち向かう中で身につけた強さとしなやかさを糧に、
私たちはどんな困難をも乗り越え、いつか必ず復興を遂げる日がやってきます。
厳しい冬の後に春の訪れを告げる梅が咲き誇り、人々が和して暮らす
「令和」に込められた願い。
私たち一人ひとりがそれぞれの色の花を咲かせられるよう、
「ふくしまプライド。」を胸に刻み、皆さんと共に、人と人、心と心が調和する、
希望に満ちた魅力ある豊かな福島の未来を切り拓いてまいります。


  令和2年3月11日
                          福島県知事 内堀 雅雄